少年少女世界の名作文学 イギリス編

○『少年少女世界の名作文学03 -イギリス編1』
・「カリバー旅行記」 ジョナサン・スウィフト
 小さいときから、冒険にあこがれたガリバーは、おとなになってから、船医として船に乗りこみ、だれも見たことがないような、珍しい土地へいくのです。
 ガリバーは、小人が住んでいる小人国へいきました。巨人が住んでいる巨人国へもいきました。小人国では、軍艦を一度に五十隻もぶんどり、巨人国では、犬よりも大きなねずみと戦います。知恵と勇気のあるガリバーは、さまざまな危難をのりこえて、いろいろなことを学ぶのです。
 さあ、ガリバーといっしょに、珍しい土地をまわりましょう! ガリバーのいった国のうち、ここでは、とても愉快な小人国と巨人国の話をのせました。
・「ウェスト・ポーリー探検記」 トマス・ハーディ
 この物語は、一八八三年に書きおろされ、原稿はアメリカのある出版社に送られたまま、ゆくえ不明になってしまいました。
 そのあいだに作者は世を去り、発見されたのは一九五二年です。そして、同じ年の秋、イギリスのオックスフォード大学から出版されて、はじめて世に出たのです。
 ふしぎな運命をたどった作品だけに、内容にもふしぎなおもしろさがあり、そのころの文壇にひじょうな反響をよびました。
 山の洞窟を探械に出かけた少年が、その洞窟の奥で泉を発見し、ちょっとしたいたずらをします。それが、とんだ大事をひきおこす原因になるとも知らないで……。
・「トム・ジョーンズ物語」 ヘンリー・フィールディング
 トム=ジョーンズは、捨て子という悲しい運命の星のもとに生まれながら、意外に明るくのびのびとした少年に成長し、愛と正義のためには命をもおしまない強い人間になります。
 ジョーンズは、じぶんを養い育ててくれたオールワージを深く尊敬していたのに、そのオールワージに誤解されて、家を追われ、首都ロンドンへ旅をします。
 だがジョーンズは、さまざまな苦難とたたかい、それをのりこえていきます。
 「イギリス文学の父」といわれるフィールディングの書いたこの小説は、たいへんゆかいでおもしろい大長編です。ここでは、原作のおもしろさをできるだけみなさんに伝えながら、簡略にしたことをおことわりします。
・「マザーグース」
 マザーグースの童謡は、だれが作ったのかわかっていません。ちょうど日本の〝子もり歌〟や〝数え歌〟などのように、イギリスで古くから語り伝えられているものです。
 イギリス人は、だれもみな、このマザーグースを子もり歌として、幼年時代をすごします。この童謡が出版されたのは、一七六〇年、ジョン・ニューベリーという本屋さんの出した絵本です。
 マザーグースには物語性もあるので、児童劇に作られ、劇場で上演されることもたびたびあります。
 なんどもお読みになると、イギリス人の国民性といったようなものが、わかるような気がしてきます。
・「ロビンソン・クルーソー」ダニエル・デフォー
 ロビンソン=クルーソーは、船乗りになって、旅へ出ていきます。その途中、恐ろしい海賊と戦ったり、野蛮人のいる国へいったり、いろいろな冒険をします。
 でも、物語の中心は難船してはなれ島に流れつき、たったひとりで暮らしていくところです。
 どんなにとまったときも、また苦しいときも、絶望しないで、ロビンソンは、さまざまのくふうをこらして、この島で生きぬいていくのです。これを読む者はだれでも、ロビンソンから、力づよく生きる勇気とゆたかな知恵をあたえられることでしょう。

○『少年少女世界の名作文学04 -イギリス編2』
・「シェークスピア物語」 チャールズ・ラム&メアリ・ラム
 シェークスピアは、イギリスのもっともな劇作家で、かれの死後三五〇年もたったいまもなお、かれの戯曲は全世界の人びとに愛読され、上演されております。
 ところで、戯曲は、読みなれないと読みづらいものです。そこで、チャールズ・ラムと、姉のメアリとが共同して、少年少女にも読みやすいように、散文の形に書きあらためたのが、この『シェークスピア物語』です。
 この本では、代表的な悲劇 『ハムレット』『リア王』のほか一編、喜劇『ベニスの商人』『真夏の夜の夢』ほか二編を扱っています。
・「黄金の川の王さま」 ジョン・ラスキン
 三人兄弟の末の弟、グルックは、心のやさしい親切な少年です。人が困っていたり、苦しんでいるのを見ると、すぐに、助けてやります。
 それにひきかえ、ふたりの兄たちは、困っている人たちを見ても、パンひと切れ、一銭のお金さえも恵むことが嫌いな、欲の深い性質でした。
 だが、この三人兄弟の運命をかえる事件が起こります。
 世のなかで、人が生きるうえにおいて、やさしく、美しい心を持ちつづけるということが、いかにむずかしく、また、いかにたいせつであるか、ということを教えています。
・「トム・ブラウンの学校生活」 トマス・ヒューズ
 イギリスには、十一、二歳ごろ入学して、大学に入学するまで、寄宿舎でみんないっしょに生活しながら勉強する、パブリック・スクールという学校があります。
 この小説は、その学校に入学したトム=ブラウンという少年の、たいへんおもしろい生活を書いたものです。
 パブリック・スクールには、いろいろな家庭の、いろいろな少年が集まっていますから、トムのまわりには、いろいろな事件がつぎつぎとおこります。いたずらをしたり、けんかをしたり、運動の試合でがんばったり……。
 そのおもしろい話に、みなさんは、きっと、しみじみと共感したり、強い感動を受けたりすることでしょう。
・「ブレイク詩」 ウィリアム・ブレイク
・「バイロン詩」 ジョージ・ゴードン・バイロン
・「ばらと指輪」 ウィリアム・M・サッカレー
 あるとき、いたずら者の魔女が、それを身につけていさえすれば、とても美人に見えたり、とてもりっぱに見えたりして、だれにでも愛されるようになるという、ふしぎな”ばら”と”指輪”をふたりのおきさきに贈りました。やがて、その“ばら”と”指輪”はつぎつぎと人の手にわたり、いろいろとおもしろい、 愉快な事件をまきおこします。
 また一方、魔女から〝不幸〟という贈り物をもらった王子と王女は、さまざまな悲しみや苦しみにあいますが……。
 作者、サッカレーは、得意の風刺をきかせて、多くのにせ物にまどわされる世のなかの人たちを笑い、そしていましめています。
・「クリスマス・カロル」 チャールズ・ディケンズ
 ”カロル”というのは、お祝いの歌のことですから、『クリスマス=カロル』は、”クリスマスの歌”という意味です。
 スクルージというよくばりじいさんと、四人の幽霊が登場して、いろいろな物語が展開されます。
 よくばりじいさんに、幽霊のとり合わせでは、きっと暗い気な話だろう思うでしょうが、なかなかどうしてそうではありません。
 ディケンズも、物語のはじめに、『この幽霊の本が、みなさんのいえにも、楽しくあらわれて、だれもそれを追い払う者がないように……。』と書いています。
・「オリバー・ツイスト」 チャールズ・ディケンズ
 オリバーは父を知らず、生まれたとたんに、母にも死に別れてしまいます。
 ひとりぼっちなオリバー。オリバーは、奉公に出された葬儀屋の小僧がいやだ、というのではありません。死んだ母をわるくいわれることが、身を切られるよりもつらいのでした。葬儀屋をこっそりと抜けだして、ひとりたどるロンドンへの道。へとへとに疲れたオリバーに声をかけたものは、子どもでいておとなみたいな、奇妙な少年でした。
 ロンドン。オリバーを待っていた怪しげな家。 えたいの知れないおとなたち。大都会へ出たオリバーの運命は、荒海にただよう小船のように激しく揺れ、めまぐるしく移り変わります。『オリバー=ツイスト』は、イギリスの文豪ディケンズが書いた作品の中でも、もっともはらんに富んだ、おもしろい物語といわれています。

○『少年少女世界の名作文学05 -イギリス編3』
・「名犬クルーソー」バランタイン
・「水の子トム」キングズリー
・「ジェインエア」シャーロット・ブロンテ
・「ワーズワース詩」ウイリアム・ワーズワース
・「サイラス・マーナー」ジョージ・エリオット
・「ポンペイ最後の日」リットン

○『少年少女世界の名作文学06 -イギリス編4』
・「ロビン・フッドの冒険」 イギリス民話
 ロビン=フッドは弓の名人です。強い反面情けぶかい心を持ち、正義と自由を愛しています。おおぜいの仲間とともにシャーウッドの森にこもり、悪と戦います。かれは、十二世紀の終わりごろ、イギリスに実在した人物だといわれ、その胸のすくような冒険談は伝説として語りつがれ、多くの作家の手によって小説に書かれました。そして、いまではイギリス人だけでなく、世界じゅうの人の心の中に、愛すべき英雄として生きています。それらの伝説や小説をもとにして、おもしろくまとめたのがこの物語です。
 ロビンとその仲間たちは、おたずね者であり、山賊のようなことをして、国法にそむきます。でも、ほんとうに悪いのはだれか…?この物語を通して、それを読みとっていただければさいわいです。
・「フランダースの犬」ウィーダ
 わたくしたち人間と犬とは、むかしから仲よしです。
 ですから、勇敢な犬や強い、賢い犬などが活やくする有名な物語が、たくさんあります。
 この物語にでてくるフランダースは、からだの大きい、力の強い犬です。
 思いやりのない金物屋の男にこきつかわれて、死にかかっていたパトラッシェは、道ばたに捨てられたところを、ネロとおじいさんにひろわれます。
 しかし、ひろってくれたネロとおじいさんは貧乏暮らし。手厚い看護をうけて、パトラッシェは、元気に……。でも、しあわせになれるでしょうか。
・「ふしぎの国のアリス」ルイス・キャロル
 このお話を書いた、ルイス・キャロルの本名は、チャールズ・ラットウィッジ・ドッジソンといいます。イギリスの有名なオックスフォード大学の数学の先生です。童話などとはなんの関係もなさそうな数学の先生が――と、ふしぎに思われるでしょう。ところが、この物語は、もっともっとふしぎなことばかりが起こるのです。
 チョッキを着たうさぎなんて、アリスは生まれてはじめて見たのです。だから、そのうさぎのあとをつけていってみました……。
 アリスはこれから、いったいどうなるでしょう。
・「黒馬物語」アンナ・シュウエル
 これは、ブラック・ビューティという名の馬の話です。
 わたしたち人間と同じように、ブラック・ビューティにも、悲しいこと、恐ろしいこと、腹のたつこと、つらいこと、いろいろのできごとがありました。しかし、けっしてくじけたり、ひがんだり、やけをおこしたりなどせず、いつもそれらをのりこえていきました。だれでも、ブラック・ビューティに感動しないではいないでしょう。それは、だれでも、心にブラック・ビューティと同じものをもっているからです。
 それをもちつづけることは、じぶんにとっても、まわりのものにとっても、どんなにしあわせなことかもしれません。
 この物語は、少年少女のための物語であると同時に、おとなのための物語でもあります。

○『少年少女世界の名作文学07 -イギリス編5』
・「宝島」ロバート・ルイス・スティーヴンスン
・「ジキル博士とハイド氏」ロバート・ルイス・スティーヴンスン
・「幸福な王子」 オスカー・ワイルド
・「キップリング短編」 ラドヤード・キップリング
・「ジャングル・ブック」 ラドヤード・キップリング

○『少年少女世界の名作文学08 -イギリス編6』
・「ソロモンの洞窟」H・R・ハガード
・「ボートの三人男」ジェローム・K・ジェローム
・「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル
・「失われた世界」コナン・ドイル

○『少年少女世界の名作文学09 -イギリス編7』
・「ピーターパン」 ジェイムズ・M・バリー
・「ラプラタの博物学者」 ウィリアム・H・ハドソン
・「人形の家」 キャサリン・マンスフィールド
・「やみをぬう男」 バロネス・オルツイ
・「イノック・アーデン」 アルフレッド・テニスン
・「透明人間」H・G・ウェルズ